| 番号 | タイトル | 著者 | 掲載誌 | 日記 |
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| No.67 | ピエタ | 榛野なな恵 | 「YOUNG YOU」1998年8号 | 1998.7.26 |
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・・・完結編です。 ずいぶんと久しぶりに「やられたなぁ・・・」というショックを受けた作品です。 (たぶん、思春期に「トーマの心臓」にやられたのと同種のショックだと思うんだよね。もちろん、こっちが年をくった分、同じショックでも余裕はあるわけなのだけどれども。) ん〜、「YOUNG YOU」でやっちゃうというところが、すごいかもしれません。 ・・・だからと言って、今の少女誌で、これをやれるところも思いつかないけれど。(だから「YOUNG YOU」なのかもしれない。) しかし、できれば、思春期まっただなかの少女たちに読んで欲しいよな・・・、と。そこが惜しいですね。 紫野自身には、もう、理央や佐保子のような繊細さや潔癖なところってのは、あんまり残っていないので、少し妬けてしまいます。「自分のための場所」を見つけたいと、漠然と、あるいは意識をしながら、熱烈に探していた、あの頃。自分は自分のままで、自分が思うとおりの自分でいたい、それを認めてくれる人に抱きしめて欲しいと、焦がれていた・・・あの頃。 いつのまにか、あの頃の少女は自分の奥に静かに退いていき、今は、「自分が誰かのための場所」でいられたらいいな・・・と願うほうになっている・・・というのは、成長なのかなぁ。もちろん、あの渇望が無くなったわけではない、というのは、自分でもはっきり自覚しているのだけれど。 自分の年齢のせいか、理央の継母のほうも気になりますよね。彼女の表情が、とてもとても気になるわけです。何が彼女をそうさせるのか?彼女もまた、追いつめられているのだと分かるから。 明白な悪意。・・・でも、その裏側は? たぶん、彼女が理央に向ける悪意は、本当は彼女に向けられているものではないはず。では、本当に憎まれているのは誰なのだろう? 理央の実母? それだけだろうか? ・・・ちょっと、うがちすぎか(苦笑) 佐保子の理央への叫び。いっしょに生きようっ!というメッセージが、甘くなくて痛いです。 ラスト佐保子は理央を抱きしめながら、理央を見ていない。彼女の視線の先には、これから渡りゆく、未来がある。・・・しかし、その未来は、優しく明るいものではないのだ・・・と。それでも、生まれてきたものは、みんな、生きていくのだから、と。 荒涼とした未来、乾いて非情な。それでも、誰かは誰かとともに在る、と。 榛野なな恵の描く「ピエタ」がここにあるのです。 私が生まれて19年 愛されて育ち この時間 この瞬間 この制服を着て ここにいるのは そして 私達が出会ったのは みんな たった1つの理由のためだ 私達が出会ったのは 決して 嘆き悲しむためじゃない 私達は 生きるために 出会ったんだから |