こみっくす感想日記
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番号 タイトル 著者 掲載誌 日記
No.75 haRmony −ハーモニー− 吉野朔実 『office YOU』 12月スペシャル号 1998.11.1
いやぁ、もともと壮絶な話が多い人ではありますが、これもかなり壮絶な話ですよね。

主人公の感情がものすごくリアルだなぁ、と読んでいて手が震えてしまいました。

直子と夫は結婚7年目になるけれども、超ラブラブの夫婦。

「結婚して7年もたつのに1ミリも変わらずあなたを愛している自分がくやしい!!」直子と、「1グラムも変わらず愛しているよ」と答えてくれるような夫。子供はいないけれど、いつか自然に、と直子は考えている。・・・幸福な満ち足りた日々。

夫が3ヶ月間の海外出張に行くという、その10日前に、直子は10年ぶりの同窓会に出席し、思い出の人「R」に再会する。

「R」は高校の音楽科でいっしょだった憧れの天才少年だった人。直子と「R」は一度だけ、ラフマニノフのコンチェルトを演奏したことがあって、それを今でも直子は、綺麗な素敵な思い出として大事にしている。

夫の不在中、ある日、「R」が直子のもとをたずねてくる。もう一度、ふたりで演奏してみようと言う「R」。そして、「R」は直子を抱く。

やがて、夫の帰宅。直子の妊娠。

「私・・・私は・・・望んだわけじゃないわ・・・でも抵抗しなかった」

という直子の告白が痛い。あまりにも、あきれるほどの真実だと思うから。馬鹿がつくほど正直な直子。直子はそれを強姦だったとは思っていない。でも、直子の意志を尊重した行為では決してなかった。

直子は抵抗しなかった。夫への想いとは違う想い。10年の時が過ぎても、やはり、残る気持ち。「R」を許してはいない。受け入れてもいない。でも、抵抗しなかったのだ。できなかったのではなく。

「私が彼を家に入れて・・・私が・・・でも
彼の子供なんか産みたくない
でも堕ろしたくない」


それも真実。だって、産みたかったのは、望んでいたのは、夫の子供。他の男の子供なんか産みたくない。

それなのに、殺せない。直子はいっそ死んでしまおうとして死ねなかった。いとしんだのは自分の命か、それとも子供の命だったのか・・・。

「私がやったことなんだから堕ろせないわ」
「産んでも堕ろしても君は苦しむだろう
ぼくも苦しむことになる
それでも君が 彼と行くよりぼくといたいというなら
いっしょに苦しむことにしよう
君の子供だ」


ここで、グワァァァンと、やられちゃいましたね。

もちろん、現実に、これだけ言える男性がどれだけいるのかは知らないし、これは、たぶん、女の側の願望の粋たるものなんだけれども。

何があっても、ふたりで生きていこう。どんなこともふたりで乗り越えていこう、という意志の表明だもん。妻として、ここまで言われたら、もう、怖いもんなんか何にもないなぁ、と憧れてしまいます。

直子も夫も苦しむだろうけど、その苦しみはなくなったりしないだろうけど、でも、産まれてくる子供は望まれて産まれ、愛されて育ち、直子も夫も幸せになるだろう。それだけの決意が、この夫婦にはある。

たぶん、きっと、いつかそれは喜びになる。なにが起こったとしても。



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