こみっくす感想日記
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番号 タイトル 著者 掲載誌 日記
No.77 『心臓のない巨人』 佐藤史生 プチフラワーコミックス 1999.2.1
ベテランなんだけど、寡作なため(?)、いまひとつメジャーな雰囲気にならない人なんですよね。

紫野は、この人のSF作品がすごく好きなんです。

この『心臓のない巨人』も、好きな部類の作品。

タイトル「心臓のない巨人」と「バビロンまで何マイル」の中編2本が収録されています。

舞台は、いつのことやら分からない未来。人類の居住惑星に寄港し交易を行いながら航行する巨大宇宙船『複合船』が存在する世界です。

「心臓のない巨人」

船のハート、心臓、魂として愛されている、船母 というイメージは、どこか、マキャフリーのパーンシリーズの洞母という存在を思い出させます。でも、そのあたりを2重写しにして読み進んでしまうと、「心臓のない巨人」に描かれる、船母クララのイメージに違和感を感じてしまいます。・・・はい、クララはレサのようにタフなタイプではないですから(苦笑)

パーンの洞母の場合は、竜の選択に依るところが大きいから、しょーもない洞母という存在も有り得るものとして受け入れられるんだけど、複合船の船母ってのは、どういう基準で選んでいるんでしょうか・・・。う〜ん。クララは、悪くない船母だろうけど、望ましい船母ではない、と思うのですね。さっさとリコールすりゃいいのに・・・とか、考えちゃう。(現代人根性、かな? 笑)

「なんでこんなん(<をいをい)が船母になるんだ??!」という疑問はさておき、船母の病は、船全体の病となっていく・・・、このイメージは、佐藤史生さんの作品のなかには、何回も現れるイメージですね。今回は、生まれなかった子供 というイメージが、なんか、生々しいです。

精神的に深い傷を負う経験ではあるんだろうけど、こんなに傷つきやすくて、よく船母なんぞやってられんなぁ・・・なんて、ちょっと、意地悪なんですけどね。

船母の精神的な弱さを補ってくれるだろうと期待された、王(キング、船母の配偶者)クラヴァートも、また、心に闇をかかえていて、お互いに大事に思い、お互いを求めているのに、なぜか、うまくいかない夫婦になってしまう。このふたり、どうにも、間が悪いんだよね・・・。

結末は・・・、これを救いというか?・・・ある意味、救いなんですかねぇ・・・? という、この人、独特の読後感を味合わせてくれます。「阿呆船」で色濃く出ていたテーマ、また「ワン・ゼロ」でも繰り返し出てきた余韻ですね。作者自身も、結論できないテーマなんだろうなぁ。

結論は、読者それぞれが、ご自由に・・・ってことなんでしょうか。

「バビロンまで何マイル」

これは、グロ好きにはお薦めでイイッ!です(笑)

まぁ、絵柄的には、いまいちグロさが足りませんが、設定と人物の造けいのグロさがたまんない(<悪趣味)

前・後編ものですが、前編を読んだだけでは、まったく先が読めませんでした。とっても、興味深い設定と、結末ですね。破滅的で救いがなくて、超絶的で(<誉めてるんです。為念。)

何にしろ、生物は、生きて、繁殖しなければならないという本能を抱えているわけで、この本能にしたがうと、どんなグロいことだって出来てしまう・・・という・・・。

こういう、種の繁栄と引き換えしした生理的嫌悪感をもよおすほどのグロい世界って、女性の描いたもののほうが好きだなぁ、なんて思います。所謂、寄生もの、なんだけど、男性が描くこの種の作品って、女性が描くものより、グロい感じがしないんだよね。水っぽい、ベトベトした、粘膜的グロさ、ってのは、女性のがうまいのでしょうか? それとも、紫野が女だから、女性の描くイメージのほうに強く影響されるのかなぁ・・・。

読んでいて、いつのまにか、産む側の(つまり女王の)立場にシンクロしていて、それに気づいたときには、さすがにゲロ〜 と思いました。自分のことながら、悪趣味だなぁ、と。

佐藤史生さんの作品のなかに、孔雀のあの美しい羽根は奇形なのだ、という台詞が登場したことがあるのですが、この女王の相のない女王の羽が、こんなに奇麗で力強いのは、神さまの悪意なのか、好意なのか・・・と考えずにはいられません。

遠く暗い闇と光をひととびに飛び越えて母星に帰還する、狂って、狂暴な、力強い女王。想像される地獄絵、阿鼻叫喚。それでも、フェーも人間も生まれて生きていくんですよ。たぶん。そうするんでしょう。そうせざるを得ない。

これは生存競争 なのよね・・・。

もひとつ。

女性の被った差別や搾取をフェーに転化したのか・・・云々。には、かなり考えさせられましたねぇ。

ほかの生物に転化したり、機械(ロボット?)に転化したり・・・。ん〜、なにかに転化する、という解決策しかないのかなぁ。まぁな、安直ではあるんだけどな。ふぅ・・・。これもまた、回答のない永遠のテーマ、かぁ。



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