| 番号 | タイトル | 著者 | 掲載誌 | 日記 |
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| No.85 | あの窓 | 吉村明美 | フラワーコミックススペシャル | 2000.2.16 |
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吉村明美さんの作品のなかには、「どーしようもない母親」ってのが存在する。しかも、とても印象的で憎めなくて「子供に愛されてる母親」なのだ。 「あの窓」の母ちゃんも、そんな、愛すべき人だった。 そういう母ちゃんだもんだから、子供はとってもしっかりしていて、時にしっかりしすぎているぐらいなのに、やっぱり子供なんだよね。そのあたりの匙加減がうまい人だよなぁ、といつも思う。 サイテイの、許容できるわけもない「人間の悪意」を描きながら、自分でも気づいてなかった(気づきたくなかった)心の奥底の金の扉の奥の銀色の鈴の音−そういった、なにかとてもきれいなものが、ちゃんと自分のなかにもあるんだって思わせてくれる。なかなか希有な作者さんです。 さて、現在連載中の『海よりも深く』は、そんな「やっぱり愛されてる母親」が存在しない物語になりそうです。どうやらやっと根本原因にまでストーリーが到達した様子なので、目が離せません。 あの、ばあさんのブラックホールのようなおそるべき空虚さって、どこで生まれたものなのか、非常に興味があります。吉村明美がそれをどう描くのか? が楽しみですね。 吉村明美さんはここのところ、「心の病」なんて甘っちょろいものじゃなくて、バリバリの「パーソナリティ障害」をテーマにしているのかもしれません。昔から「カタチではなくキモチ」を描いてきた少女漫画が至るべくして至ったところではあるのでしょう。 ただ、この路線がさらに極まってくると袋小路に追い詰められて行くでは?と要らぬ心配までしてしまうのですが、まぁ、杞憂に終わるでしょう。必ずブレイクスルーが起こるはずなんだから(<楽観)。
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